ジンへの“入口”をつくる。 野沢温泉蒸留所×ローソン「COCO de BAR」が広げるクラフトジンの楽しみ方

 

ローソンと野沢温泉蒸留所の取り組み、第2弾。全国展開という選択は、ただ「売り場が増える」だけの話ではありません。

土地で育まれてきた背景や、つくり手が積み重ねてきた技術を、身近な場所で、自然に出会える形にして届けていく。

そんな“橋渡し”の挑戦です。

昨年の“ジンソーダ缶”に続く今回の取り組みについて、野沢温泉蒸留所代表取締役のリチャーズ・フィリップと、水・ボタニカル・技術の総合力に確信を持ち、全国の生活導線へ乗せる挑戦を選んだローソン商品開発担当の倉光さんに、それぞれの視点から「なぜ今、共同で取り組むのか」を伺いました。

協業のはじまり

編集部:まずはじめに、野沢温泉蒸留所とローソンが共同で取り組む狙いそのものを聞かせてください。お二人にとって今回の「協業」って、どんな挑戦ですか?

リチャーズ(以下フィル):野沢温泉蒸留所としては、ただ”お酒を販売する”というより日常の中に、ちょっとだけ非日常を味わえる空間を提供したいんです。それは、場所にとらわれず、手に取った瞬間に気持ちが切り替わるような体験です。

倉光:ローソンとしては、全国展開することで、その“いい体験”に出会う確率を増やすことが一番の目的ですね。野沢温泉村の魅力を含めて、もっと手軽に楽しんでもらえる形にしたい、というのが根本にあります。

編集部:なるほど。実際に今こうして「協業」が形になっていますが、2社の出会いについて聞かせてください。

 

最初の一口で「めっちゃ美味い」と思った

倉光:仕事柄、ウイスキー関連の展示会やイベントに参加することが多くて、偶然、野沢温泉蒸留所のブースで試飲させてもらったんです。一口目で「めっちゃ美味い」と思いました。そのときは試飲で終わったんですけど、次の会場でも出展されていて。2回目の試飲のときに「これだ!」って思って、お声がけさせていただいたところから、ご縁が続いています。会場にはすでに蛍の光が流れていて閉館直前だったのを思い出すと、そういうタイミングも含めて全てご縁だなって思います。

フィル:ありがとうございます。クラフトジンや蒸留所ってストーリーで語られがちですが、最初に"味で"評価していただけたというのは、とても嬉しいです。

編集部:倉光さんの「めっちゃ美味い」は、どこが刺さったのでしょう?

倉光:ジンってボタニカルが注目されがちなんですけど、そこだけじゃ決まらないと思うんですよ。水だったり、造りの技術だったり、トータルの“総合力”。野沢温泉蒸留所のクラフトジンにはその”総合力”があるなって感じたんです。それが決め手でした。

編集部:倉光さんが言う“総合力”って、もう少し噛み砕くとどういうことですか?

倉光:言い方は難しいんですけど、どんなボタニカルを選ぶのかによる影響はもちろんあります。ただ、言葉を選ばず伝えると、頑張ればおいしくできる領域でもある。そこで差が生まれるのが蒸留技術だと思っています。野沢温泉蒸留所は土地柄、水がいい。そして国産のボタニカルへのこだわりも強い。加えて技術がある。飲んだ瞬間に「美味しさの答え」がはっきり見えて、腹落ちした感じがしました。

なぜ野沢温泉村で蒸留所を?

編集部:フィルさん、そもそもなんで野沢温泉村で蒸留所を始めたんですか?

フィル:理由は、単純にお酒が大好きなんです(笑)。そして根っこにあるのは「野沢温泉村が好き」というシンプルな気持ちです。水が美味しいこの場所なら、絶対に美味しいお酒ができる。そう信じていました。この村に魅了された仲間たちと「いつかやりたいね」と夢を語り合っていた時間が、今の私たちの原動力になっています。

編集部:夢で終わらない、現実的な転機があったんですね。

フィル:私たちの蒸留所は、かつて山菜や根曲がり竹の加工を担っていた村の缶詰工場を再生したものです。前のオーナーが引退を迎える際、「この場所を、何かに活かせないか」という相談をいただいたことが、すべての始まりでした。地域の人々に長く親しまれてきたこの場所を私たちは受け継いで、今度は「お酒」という新しい文化を発信していきます。

倉光:“ちゃんと始まった理由”があるのも、野沢温泉蒸留所の強みですよね。

 

全国に出すのは「売る」より「伝える」ため

編集部:倉光さんは、蒸留所だけじゃなくて「野沢温泉村」そのものも気に入ったと伺いました。

倉光:はい。協業の話を進めるために初めて野沢温泉村に来ました。正直、感動しました。自然は豊かだし、働いているスタッフの本気も感じる。何より「村に根付いた蒸留所」だということを目の当たりにして「多くの人に知ってほしいな」って、素直に思いました。

フィル:全国展開は、期待もありますけど、ちょっと怖さもあります。だからこそ「何を届けたいか」がブレないようにする気持ちが大きいです。野沢温泉村のことも知ってもらえるようなきっかけになったら嬉しいですね。

 

2年目の挑戦、「コンビニで出会う本格バー体験」をコンセプトにしたジンカクテルシリーズ「COCO de BAR」

編集部:第2弾の「COCO de BAR」では、狙いがはっきり変わった印象です。

倉光:去年は「本格的なジンがあるんだぞ」って、本格路線でおすすめしたんです。結果、ジンが好きな方には評価していただきました。しかし、ジンをまだ馴染みのないお酒だと感じている方や、これまでのジンでは自分に合うものが見つからなかった方には、少しハードルが高かったのではないかという反省がありました。そこで新しいコンセプトとして、気軽に手に取ってもらい、飲んだら「あれ、めっちゃ美味しいじゃん」となることを狙って、ジントニックのカクテルにしました。

フィル:前回は“本物をそのまま”っていう意識が強かったんです。今回はどなたでも楽しめるよう、親しみやすいフルーツカクテルという形で完成させました。日々の生活から離れて、バーにいる感覚を味わうことができる。家で一人の時間も、友人や家族との時間も、COCO de BARが気持ちを切り替えてくれます。

倉光:その感覚、COCO de BARの核心ですね。身近なコンビニで買って、開けるだけ。でも、ただの“カクテル缶”で終わらせずに、ちゃんとスイッチが入る。まさに本格的なバーの一杯みたいに。

開発の裏側

編集部:開発の裏側で、特に難しかったことは何でしたか?

倉光:缶のアルコ―ル飲料って、いろんなタイプがあります。味を“調整”しすぎると別物になってしまうので、野沢温泉蒸留所のジンの良さが消えないラインを探すのが一番難しかったです。何より「こんなに美味しいジンを身近にできたら、もっと多くの人に知ってもらえる」っていう気持ちが強かったので。

編集部:その“ライン”を探る、というのは?

倉光:飲みやすさを上げたい気持ちはある。でも、飲み終わった後に「ちゃんと本物だったよね」って残る感じは守りたい。ここは、何度も繰り返し検討しました。

フィル:この製品で、ジンの魅力にハマって欲しい。ジンを好きになってもらうきっかけにしたい。けれど、クラフトジンとしての芯は守りたい。そのバランスを、何度もすり合わせていくのが大変でした。

編集部:最後に「これならいける」と思えた瞬間は?

倉光:飲みやすいのに、クラフトジンを飲んでいるという感覚が表現できた時。「いける」と思いました。

地方のクラフトスピリッツと大手コンビニチェーン・ローソンの挑戦の真意


編集部:
最後に。お二人にとって、この協業の価値って、どこにありますか?

倉光:僕はやっぱり、野沢温泉村の魅力をもっと多くの人に”知ってもらうことだと思ってます。この製品はあくまできっかけ。手軽に楽しめて、そこから野沢温泉村への旅につながったら嬉しいです。

フィル:僕らは、日常の中に小さな非日常を作りたい。その一杯が、土地の名前や人の営みに繋がっていくなら、「売る」以上の価値になる。そう信じています。



今回の協業が目指すのは、クラフトジンを一部の愛好家だけの世界に留めず、誰もが日常のなかでふと出会える新しい扉としてひらいていくことです。

身近な存在である“コンビニ”で出会う本格バー体験をぜひ。